Top.Blog.Novel.

戸締まり

Cover Image for 戸締まり
花初そたい
花初そたい

雑記

ブランク2

歌会が行われ、提出した詠草は箸にも棒にもかからなかった。一首も入選しなかったのはこの歌会に参加してから初めてな気がする。自分が感じているだけではなく、客観的にもブランクは大きかったということでしょう。定期的に作らないといけない。

過去作

ついでに短歌の過去作を見返してみたのだが、「こりゃダメだ」というものと「いいじゃん……」というものがあり、後者の割合が意外と高かった。SSとかはほぼほぼ前者なのだけど。短歌に関しては小説より数を読んでいないし、目が肥えていないからか?

国民的映画

久々に映画を見に行った。いつ以来だろう。トップガン・マーヴェリック以来か? そうするとまさか……半年ぶりとか!? ネタバレを受ける前に「すずめの戸締まり」を見たのだけど、ものすごい上映回数にも関わらず劇場は満席、老若男女が一室に固まる様はけっこう壮観だった。考えてみると、最近は人が少ないか、ファン層が固まった場にばかり行っていて、これだけ多様な人々が集まる場には来ていなかった気がする。本当に「国民的映画」というものは存在するんだな、ということを改めて実感した。

よかったもの

【名回答10選】バカリズム&佐久間Pが解説する大喜利名回答10選!「バカリズムの歴代大喜利をもう一度味わおう!」 おもしろかった。大喜利で戦略を意識したことはなかった気がする。「どこまで思考のステップをかませるか」というところは、歌会なんかでも意識すべきだよなあ。何十首もある中で、地味な歌に立ち止まる人はそういないだろう。

新海誠「すずめの戸締まり」

「君の名は。」「天気の子」はあんまりピンと来なかったけれど、今回は結構好きだった。とはいえ、この作品についてなにか感想を言うのは二重の障害があって難しい。1つ目の障害は「テーマ自体がネタバレになってしまう」ということなので、古のインターネットマナーに則って相当量の改行を挟んでから書きます。 ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ㅤ ↓ここからネタバレ

この映画は東日本大震災、ひいては様々な日本における大災害を扱ったもので、ここに2つ目の障害がある。被災者でなくとも、その当時を生きていたら・その当時に生きている人が知り合いにいたら、当該の災害に対して様々な思いがあるはずで、そこを確認せずに当事者でない自分が感想をぶちまけてしまうのは気が引ける……という思いが生まれてしまうからだ。この思いの詳細については後に書く。 映画そのものは非常にまっすぐ。何を描いているかというと、とにかく「震災を悼む」ということに尽きる。災害があったということを受け入れ、それでも前を向いて歩いていくこと、そして災害があったということ、そこに人々の生活があったということを思い、悼むこと。このテーマが、映像にもセリフ回しにも直球で出てくる。そのストレートさも良かったし、戸締まりというのは締め出すための行為でもあるが、外に出るときに必要な行為でもある、というモチーフの活かし方も決まっていた。 また、個人的によかったのが、前2作のように「恋」と「世界」が連動していないということ。草太が要石になってミミズを押さえた時点で世界は守られており、すずめは全てを忘れる選択肢を取ってもよかった。「恋が世界を救う」とか、「恋か世界かどちらかしか守れない」という物語では全然なく、「世界を救うことも恋も、主人公をとりまく環境のひとつ」というのがうれしい。監督は以前「恋が世界と連動する作品群は、社会の存在をすっとばしている」というようなことを言っていたけど(ソースなし)、その問題意識が「天気の子」とは違う形で結実したなあという気がする。 一方、主人公の行動と世界が連動する、といった要素はまだ残っているわけで、その構造を守ったまま実在の災害を扱うという姿勢にはちょっと身を硬くしてしまった。もし自分だったら、自分の受けた大きな災難の突拍子もない「真相」がフィクションの中で語られ、その作品が「被害を受け入れて立ち直っていこう」みたいなメッセージを投げてきたりしたらブチギレてしまう気がする。自分がようやく折り合いをつけた被害体験を荒唐無稽な「真相」に攫われてしまったように思う気がする。これは別に実例があるわけではないし、完全に杞憂なのだが…… そのうえ、いま非当事者のぼくは「被害を受けて、立ち直る人の姿」を見ることで感動してしまっているわけで、そうすることで実際に被害者がいる災害を舞台装置化するというか、有り体にいえば「感動のダシ」にしてしまっているような気がしてかなり後ろめたい。ということもあって、今はあんまりTwitterやなんかでは感想を言えない気がするな~。 ということで、よかったけど今のところガンガン誰かに勧められる感じでもない、という映画だった。ぼくの中でうまく整理できたら、また感想が変わるかもしれない。