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生で聴く

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花初そたい
花初そたい

雑記

忙殺

仕事が結構な勢いで燃えている。気付いたら日記も週報になってしまった。12月いっぱいはこの忙しさが続く予定。助けてくれ。

よかったもの

村上春樹『意味がなければスイングはない』

読み終わった。おもしれ~。音楽コラム的な楽曲の表現やアーティストの生い立ちに関する記述の面白さとは別に、村上春樹ならではの文体の面白さが確かにある。個人的な体験や感想についてのパートもしっかり面白いし。ブライアン・ウィルソンの章とスガシカオの章が好き。スガシカオの歌詞に対する分析には、「歌詞についての評論ってそうやるのか……」という新鮮な驚きもあった。

The Comet Is Coming

12/2@渋谷WWW。The Comet Is Comingに関しては「ダンスミュージックをジャズの編成でやるバンド」程度のイメージで、音源を聴いてもあんまりよくわからなかったので「これはライブで聴かないといけないやつだな」と思っていたのだけど、その予測が当たった。 ドラムはタイトに刻み、キーボードは爆音でうねり、サックスはとにかくえげつない手数とごく少ないブレスで吹きまくる。最初は、「これ、ドラムとキーボードがビートを作って、サックスがラップみたいなことをしてるんだ……!」と気付いて感動した。ラップとビートが渾然一体となる感じも、グライムとかのラップに似ているし、UK的なものなのだろう、と納得していた。けど、だんだんそれだけではなく、ビートのように思えたドラムとキーボードにもジャズ的な目配せの機微が入っていることがわかり、「知ってるジャンルに収められる感じではないな……」と思い直した。The Comet Is ComingはThe Comet Is Comingだった。 動画撮影OKだったのか、Twitterでサーチすると結構動画が上がっている。細かいパッセージでビートを作りつつオクターブ落としてメロディを吹くシャバカのサックスソロが圧巻だったのだけど、そこの動画は見つからなかった。

black midi

12/4@O-EAST。整理番号76番とかだったので「ホンマに売れとるんか?」と心配だったが、会場に着いてみるとものすごい人だかり! キャパ1300人の箱だが、1日2公演の両方がSOLD OUTだったらしい。呼び出しは1300番以降も続いていたので、なんなら1500人くらい入っていたかもしれない。みんなやたらと黒い服を着ていたが(ぼくもそうだった)、プログレのライブみたいな加齢臭は余り感じず、学生っぽい人すらいる。まさかこんなに大人気バンドだとは。WWWクラスの人気だとばかり思っていた。やあ、みんなどこから来たんだ?(People In The Box) 最新アルバムはホーン等も入った大編成だったけれど、今回はギター、ベース、ドラム、サポートのキーボードの4人編成。セットも最新アルバムよりは1stが中心の構成だった。印象としては、まずドラムが凄い! ジャズ的な繊細なタッチでシンバルを撫でたかと思えば、次の瞬間には物凄い勢いでスネアを叩く緩急。さっきまであれだけ優しく触れていたシンバルがぐわんぐわん揺れている。あまりにもパワフルすぎて、途中でスティックが折れていたりもした。最新アルバムの混沌っぷりは、このテクニカルかつ野性的なドラムあってのものだったんなあ。印象的だったのはドラムだけではなく、ギターのキレキレっぷりやイアン・カーティスとウィルコ・ジョンソンを混ぜたような謎のダンス、ベースの絶叫っぷりとナード感、キーボードの線の細さとえげつないシンセベース……全員が全員個性的でカッコいい。 black midiはぼくの周りではプログレの文脈、特にKing CrimsonやMagmaの流れで語られることが多かったけれど、個人的には最新作を聴いて初期Mars Volta的な繊細なメロディと過剰と混沌を感じていたので、そういうライブを期待していたところがあった。けれど、蓋を開けてみると、思った以上にポストパンクを感じる場面が多かった。よたよた歩きながら斬りつけるような、UKの系譜を感じるビートだ。実際、1stが出た頃はSquidなんかと比較されることもあった様子。今回は初期の曲が多かったこともあったが、この編成で聴いてみると、やっぱり「Welcome to hell」のような最近の曲も骨子はポストパンク的だなと感じる。ホーンのあるなしで全然印象が違うもんだな。 繊細さと過剰と混沌の同居はしっかり感じた。けれど系統はぜんぜん違う。Mars Voltaがカリブ的な泣きのメロディを入れてくるのに対し、black midiはチェンバーロック的な牧歌的メロディが入る。そこからの爆裂の仕方も、どちらもドラムに負うところが多いのは同じだけれど、セオドアのラテン的ドラムとモーガンのエンジン音じみたドラムではずいぶん違って聞こえる。Mars Voltaがああなっている今、やっぱりこのダイナミズムを聴かせてくれるのはblack midiしかいないことを再確認。またアルバム出して、ぜひ来日してほしい。今度は延期なしで!