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格付け

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花初そたい
花初そたい

雑記

格付け

芸能人格付けチェックとかいう権威主義の塊を視聴し、権威主義に与した。芸能界がたとえ各種のコードを解するかどうかテストが行われるような世界であったとしても、その結果をお茶の間が知る必要はないはずだし、テストを受ける機会すらない人々がその結果を評価する意味はないはずだ。お茶の間の人間はアライグマがうまいと思ったらアライグマを食ったらいいのだし、他の人が「神戸牛のほうがうまい」と言ったとしてもそれに引け目を感じる必要はない。が、こういう好みに優劣をつけるような番組があると、劣等感を刺激されることもあるのではないか。出演者側としては、テストに通れば「さすが」と格が上がるし、落ちれば「庶民的」として親しみを抱かれるわけで、別にまずい話でもないのかもしれない。それでも、上記のような劣等感の醸成に加担することにはなるわけだし、この時期に嫌というほど流れてくる格付けチェックパロを見るたびに「やめろよな!!」と画面に向かって喚いてしまう。
権威主義に抗いたいとはいえ、個々の評価基準を絶対視していくと、その先には完全な没交渉しかないんじゃないか……と思うこともたまにある。けれど、『線たちの12月』は「それでも私はこういう価値を提案したい」と言い、相手に受け入れられることを祈る、という形のコミュニケーションが存在していいはずだ、ということを教えてくれる内容だった。そういう祈りは表出としては価値観の押しつけに近くなるのかもしれないが、いったん価値観を相対的なものだと見なすフェイズが入っていることが、対話の可能性に繋がるはずだと信じたい。「それでも」と言い続けろ!(ガンダムUC)