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サニーデイ讃歌

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花初そたい
花初そたい

雑記

全身コミュニケーション

喫茶店で本を読んだりスマホを触ったりしていたら、隣の席に三人組が来た。40代くらいの女性2人と20代らしき男性一人。男が席にたどり着くなり「レディースはどうぞ奥へ……笑」などと言いだしたので何やコイツと思ったのもつかの間、この男がめちゃくちゃよく喋るしよく笑うので驚いてしまった。どうも会社の同僚らしいが、基本的に新入社員らしい男性が会社の印象や共通の敵っぽいオッサンの悪口などを面白おかしく、ジェスチャーも交えて語る。しかし女性が話そうとすると一瞬で傾聴モードに切り替わる。その集中力がすごい。まさに本気の接待コミュニケーションといった集中度合い。普通に感心してしまった。

よかったもの

司馬遼太郎『梟の城』

読み終わった。忍者かっけ~。女は恋!男は仕事! セックス!暴力!また暴力! という潔さが今の時代に眩しい。時代小説の要求するフォーマットのせいか、忍者なのに大事な場面では名乗り合って切り結んでいるのがなんとなく可笑しいところだが、それを納得させるキャラクター作りになっているのがすごい。みんな魅力的だし描写もカッコいいし。しかしものすごい与太かましてるけど、本当にこの人が「司馬史観」とかいってもてはやされたんですか?

サニーデイ・サービスTOUR 2023

傘を持つ手が凍るような雨の中、這々の体で公園通りを上って渋谷公会堂まで行ったのだけど……行ってよかった~。本当に。 フラッと現れて一発目の「海辺のレストラン」でもうぶっ飛ばされた。良いバンドすぎる。今回がたまたま良いライブかどうかではなく、もう常に良いバンドなんだなと思わされる演奏。パワフルな大工原のドラム、押し引きのうまい田中のベースもさることながら、曽我部恵一の歌とギターがすごい。何十年やっているような曲でも、たった今思いついた曲をさらっと歌い、弾くかのように演奏するというか……演奏と身体が結びついているように見える。「ロンリー・プラネット・フォーエバー」をゆったり歌い上げたかと思えば、ちょっとお喋りした後には「春の風」で狂ったように弾きまくる。その全てに説得力があるんだから、これは並大抵のことじゃないですよ。それらを全て(ダブルアンコール以外)持ち替えなしのレスポール一本でやってのけた軽さもいい。 曽我部恵一がMCでめちゃくちゃ喋りたがっていたのも印象的だった。「渋谷公会堂は退場時間が決まってるから、あんまり喋ってると、客席の電気がついて強制終了になっちゃう……」と話しながらもなおMCを続けていたけれど、案の定ダブルアンコールの「セツナ」で客席の電気がついた。それでも同曲のえげつない演奏は止まらなかったのだが。 雪の話題にハマった「月光荘」もよかったのだが、今回一番よかったのは「こわれそう」→「風船讃歌」。アルバムではある種やけっぱちにも響いていた「こわれそう」の危うい明るさがライブでは祝祭的な色を帯び、そこにタイトル通り讃歌である「風船讃歌」がつながる。そうきたかァ~と思わされるセットリストだった。そこで締まっても全然いいのだが、その後に「家を出ることの難しさ」で締まったのもよかった。 「春の風」「こわれそう」あたりは「これもう10分やってくれ~~」と思ってしまったけれど、ちゃんと「セツナ」で長尺をやってくれて嬉しかった。というか、「セツナ」始まった瞬間観客が総立ちになるので驚いてしまった。30年のキャリアがあるバンドで、2016年の曲がこういう扱いなのすごすぎるぜ。