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【陽・場・鳴・鳴】マヒトゥ・ザ・ピーポー

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花初そたい
花初そたい

雑記

本棚

引っ越しの搬入物はたいてい片付いたのだけど、本だけがほぼそのまま残っている。本棚がないから。 だいぶ売ったり捨てたりしたとはいえ、それなりに冊数はあるし、大きい本棚がほしいのはやまやまなのだけど、いかんせん部屋が狭い。圧迫感のないものを選びたいのだけど、コミックサイズの本棚ではハードカバーが入らない……ということでずっと悩んでいる。 という話を会社でしたら、「インパクトドライバーとかなら貸せるよ」と言われた。そ、それはちょっと……DIYって、でっかい本棚のほうが・いっぱい入って・良さそう!?(DIY、まだ8話までしか見てないです)

よかったもの

あのち リリース記念公演 “BUG ME TENDER vol.18 中野サンプラザ 独演”

会場の中野サンプラザに行くのは初めてで、おそらくこれが最後。というのもここは夏に閉館して取り壊されてしまうから。中野駅を降りたあたりから周りに「あっ、GEZANだな」という人が増え始め、会場に近づくにつれ赤い服の割合が上がっていった。ファンのカラーがはっきりと出るバンドは会場への道のりも面白い。 入場前BGMはアフリカのフィールドレコーディングで、既に祝祭感が高まっていたところ、会場が暗転して始まったのは「TOKYO DUB STORY」終盤のような語り。そのままなだれ込んだ一曲目はいきなり「東京」、そのまま「もう俺らは我慢できない」! この流れで既に度肝を抜かれた。てっきり「あのち」の曲を中心にやるものだと思っていたのだけど、過去の曲がすべてwith Million Wish Collective仕様にアレンジされており、時折挟まる語りや会話の前後以外はほぼ全曲がシームレスに演奏される。それもあって印象はロックバンドのライブというよりもロックオペラやミュージカルに近かった。確かに年間ベストクラスの衝撃ではあったのだけど、じゃあSuiseiNoboAzとかと比べられるかというと、ジャンル違い感は否めない。 良かった曲は「萃点」「誅犬」。「萃点」はアルバムで聴いても泣いてしまうけど、「誅犬」の良さは意外だった。レゲエの土台にリズミカルながなりとメヘテル的な管楽器が乗り、完全に唯一無二のプロテストソング。周りも今日一番くらい踊っていた気がする。 語りの内容はまだうまく咀嚼できていない。が、アンコール前にマヒトゥ・ザ・ピーポーが言っていたことは面白かった。神宮前も、サンプラザも、再開発でなくなってしまう。だからこそ、ここでしかできない音を鳴らしたかった。建物があったことはいつか忘れてしまうだろうが、それでも忘れられないこともあるのではないか。そういった記憶のゲームに挑み、今日は勝った……うろ覚えではあるが、概ねそういう話だった。アルバムの内容やライブ中の語りと総合して考えるに、マヒトゥは音楽の記憶を、建物や街の寿命よりさらに長く残るもの、無意識の領域のもの、「あのち」に刻もうとしていたのではないか。会場を埋め尽くす叫びや、「おーい」というやまびこへの呼びかけや、爆音のファズによって。 そういう姿勢って、幽谷霧子さんの感謝祭や【夕・音・鳴・鳴】、ひいては「明るい部屋」にも近い気がする。場所と覚えていること、覚えていたいこと。そういった試みの場に立ち会えたというだけでも、行ってよかった。