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キス

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花初そたい
花初そたい

雑記

キス

キスを釣りに行った。釣具屋のおじさんによると今年は当たり年で、接岸数が去年の倍くらいある……とのこと。期待に胸を膨らませながら仕掛けをぶん投げてみると、早速アタリが! しかしどうも引きが強い。キスってこんなんだっけ?と思いながら上げてみると、案の定フグ。それからもフグが釣れまくり、目的のキスは半日で4匹。う~ん…… どうも、岸から50mくらいはフグだらけなので、それ以上遠投できるかどうかで釣果がだいぶ分かれるらしい。そんな竿はうちにはないなあ。 釣りはこういう「他の道具でもだいたい似たようなことはできるが、特定の状況にはこの道具がないと対応できない」というパターンが多い。初心者はみんなとりあえずこれがあればいいという万能の道具を求めがちだけど、いろいろやっているうちに結局専用の道具が欲しくなってしまうもの。うまくできてるな~。 ずっとキスの釣り方ばかり考えていたので、検索履歴が「海岸 キス コツ」と中学生みたいなロマンチックさになって笑ってしまった。あらぬ誤解を受けそう。

よかったもの

マティス展

あんまりマティスに対する思い入れがなく、めっちゃ色鮮やかで……セザンヌとかみたいな……くらいのイメージで行ったけれど、めちゃくちゃよかった。構図と色彩が際立ってくると、じゃあ描線をそれにどう馴染ませるか、という問題が発生してきて、それに対する苦闘の歴史がうかがえる。最終的に切り絵をやっていたのもカッコよかった。 グッズが異様に充実しており、レジが12台もあった。最近の特別展はグッズに気合の入ったものが多い気がする。毎回ポストカードかマグネットくらいしか買わないけれど、みんなどんなものを買っているんだろうか? 絶対にトートバッグやハンカチは置いてあるけれど、外で使っている人をあまり見たことがない気がする。

すずすけ『隻眼・隻腕・隻脚の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~』

最近いわゆる「なろう」を読んでいる。なぜかというと物理の本を開きたくなるようなまとまった時間がないから…… 主人公が魔術にしか興味がなく、魔術はその人固有のものなので、とにかくチャンスがあれば人を魔術師にしようとするのが新鮮。そして、魔術に目覚めた人がどれだけケチな悪党でも、急に力あるゆえの堂々たる態度を取るようになるのも新鮮。けど、大立ち回りをしたところでメインキャラは誰も成長や変化をしないので、基本的に読んでいて退屈。 「小説家になろう」連載の人気作品は、今まで読んだ限りでは「主人公やその一行が様々な問題を解決するが、特にそれが主要人物の変化につながる事はなく、問題の規模だけがどんどんインフレしていく」という構造のものが多かった。そういうのは別に読みたくないので、やっぱり信頼できる人のレビューに頼るしかないかも。

MUMU『異世界クイズ王 ~妖精世界と七王の宴~』

これは信頼できる筋(施川ユウキ氏)がレコメンドしていた作品。お、おもしれ~~~。 クイズが支配する異世界に召喚されたクイズ王が、全く知識のない異世界でクイズに挑むことになる。夢見ていたクイズが広く楽しまれている世界に感激する主人公だが、知識無しでクイズに勝つためには、相応の技術を使わなければならない。そしてそれは、異世界の幸せで純粋な知識勝負のクイズを破壊することを意味していた……という話。クイズの描写もさることながら、主人公のクイズに対する信念と自分のやっていることへの葛藤も読みどころ。

cero - e o

★★★★☆ ゆるやかにファンクへ接近した前作から一転、今回は突然実験的に。ドラムを抜いた中で幻惑的にコードが進んだり、R&B的にリズムが揺れたり…… 前作まではceroはジャムセッションが核のバンドだとばかり思っていたけれど、これだけ構築的なアルバムを聴かされて初めて、そのソングライティングの良さに気付けた気がする。冷ややかで美しく明確な像を結ばない言葉たちを、これまた明確な像を結ばない音で、しかし瀬戸際でポップに留めるバランス感覚の類稀さが際立ったアルバム。「Fdf」とか去年フェスで聴いた覚えあるんだけどなあ。こんなにいい曲だっけ。