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花初そたい
花初そたい

雑記

アニメの土壌

フォロワーのツイートが地味に伸びて、地味に言及され続けている。要するに、ぼざろみたいに、女の子がラップをやるアニメは出てこないのか……という話だけれど、TLでよく見る言及はだいたい3パターンになっている様子。

  1. フィメールラッパーの人気について
  2. 日本語ラップシーンとアニメの関係について
  3. ラップとアニメの親和性について

1と2についての言及を見るたびに、「アニメと拠って立つネタの結びつきを信頼しすぎじゃないか」と思ってしまう。要するに元ネタ側に土壌があった上で、アニメが花開くという態度なんだろうけど、そこまでアニメは素直な上モノではない気がする。フィメールラッパーの知名度が高かろうとそうでなかろうと、ラップにオタクが親しもうとそうでなかろうと、プロダクトがそれなりの形になってしまえば土台は後からなんぼでもついてくるんじゃないか。ヒップホップは他と違ってリスペクトが大事!といくら叫んでみたところで、ヒプマイなんかは文脈もなく行われたクラシックのサンプリングを知ってオタクが「これがリスペクトだ!」とドヤ顔をする程度でなあなあになっちゃっているんだし…… 元ネタはこういう文化だからこういうコンテンツにしよう、みたいな組み立て方をする必要は必ずしもないんじゃないか。そういうキッチュさが美少女アニメの美点でもある気がする。

OPENING

それはそれとして、KMNZ「OPENING」は聴く度にすげ~と思ってしまう。ふにゃふにゃのボイパから照れたような笑い声が入り、そのボイパが徐々に硬質なビートに入れ替わっていき、ビシッとラップが始まる……という開始数秒の構成に痺れる。この二面性と連続性こそが、まさに日常的な配信を行いつつ楽曲をリリースするVTuberという存在のラップを象徴しているんじゃないか。シーン初期にして洞察に満ちた一曲だと思う。あと未だに「ワオーン」がリタの声だというのが信じられない。

よかったもの

PLAY VOL.123 Analogfish / トリプルファイヤー @La.mama

強風に傘を破壊されながら会場に着くと、壊れた傘を抱えた人たちが入場待ちをしていて笑ってしまった。すごい執念。ビールを飲みながらボンヤリしていると、会場は少なくとも8割は入っている状態に。そのうえ、10代無料のライブなのに年齢層は結構高め。重ね重ねすごい執念。 先に出てきたのはトリプルファイヤー。早速始まった一曲目は……知らない! その後も知らない曲が続く。なんなら全体でわかったのは2、3曲しかなかった。前にワンマンに行った後輩が「アルバム2つ分くらい新曲を貯めているらしい」と言っていたが、マジで新曲ばかり。なんなら、足元に見えたセトリにも「新曲③」などと便宜上の名前が。アルバム出してくれ!!! 後に出てきたAnalogfishの下岡さんも言ってたけど!!! 生で聴いてみると、思ったより演奏に意識が向く。特にギターの妙さに気を取られてしまう。明らかに上手いのに、ドラムとベースから想像される順当な展開を完全にめちゃくちゃにしている。確かな足取りで明後日の方向に歩き続けるようなギター。一音一音に惹きつけられてしまうので、結構ギターヒーロー性も強い。鳥居さん、カッコいいぜ…… 転換が終わって出てきたのはAnalogfish。前回ボアズとの対バンではお互いの楽曲をカバーしていたので、それも楽しみにしていたのだけど、先のトリプルファイヤーはAnalogfishの曲をやらなかった。それじゃあ、今日はやらないのか……と思っていたところ、一曲目はまさかの「変なおっさん」。よりによってそれ!? しかし今日のAnalogfishは凄まじかった。聴きながら真っ先に思いついた単語は「豊か」。アルバムでは歌モノのオルタナをやっているのに、ライブになると骨子は同じままアドリブやキメや知らないフレーズがどんどん入って、驚くほど膨らんでいく。サポートギターのRyo Hamamoto氏のSGも炸裂、シューゲイザー風になったり、メタル風になったり、ギターポップが核にあるからこその変幻自在っぷり。その振り幅の大きさと、対バン相手への寄り添いを存分に感じさせるセトリの構成もまた素晴らしい。あまり口数が多いバンドではないが、誰よりも総合的なカマしかたをわかって実演している気がする。トリプルファイヤーの吉田さんが「ずっと飄々としていてカッコいい」と評していたけど、まさに。この瞬間、完全に世界で一番カッコいいバンドはAnalogfishだった。バンドミュージックの良さを改めて思い出した気すらした。 アンコール、少々の打ち合わせを挟んで演奏されたのは「最近のぼくら」……だが、アレンジがアルバムと全然違う! ベースがリフを弾き続ける中、ドラムがひっかけるようにぜんぜん違うリズムのフレーズを叩きまくる。明らかにトリプルファイヤー風のアレンジだ! なんというか、理論上は可能だろうけど、まさか本当にそんなリスペクトの示し方をするライブが見られるとは。つくづく、今日のAnalogfishは最高だった。