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夏が好き

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花初そたい
花初そたい

雑記

マニア

昨日挙げたイナダシュンスケ氏のエッセイに、インド料理マニアの話があった。

 あるマニアが、初めての(原理主義的な)料理を目の前にして、それを食べ始めます。  未知の味であるがゆえに、最初はおいしいのかどうかよくわかりません。時には(主観だけでは)マズいと感じることさえあるかもしれません。  しかしそれでも彼は全神経を集中させて食べ進めます。原理主義的に「正しい」以上、どこかに自分がまだ気付いていないおいしさを秘めているはずだからです。なぜならそれは、ある地域で多くの人々によって長い年月をかけて育まれてきた料理。少なくともその地の人々にとっては間違いなくおいしいのです。ある種の文化人類学的アプローチとも言えるかもしれません。  そういう信念の元に食べ進めていくと、ある瞬間、そのおいしさを理解します。この瞬間が言うなればカタルシス。心が歓喜で満たされます。  不思議なもので、そういう(少々面倒な)過程を経ておいしさに「到達」できた食べ物は、一口目からわかりやすくおいしいものよりも、むしろ印象的な好物として記憶に宿ります。大人になってから好きになったミョウガが、物心ついた時から好きだったバナナより大事になるのと同じメカニズムかもしれません。原理主義者はその機序を自らの意思で発動させているとも言えます。その成功体験の積み重ねが、マニアをさらにマニアたらしめます。

かつてのぼくがプログレの名盤を聴き漁っていたのと全く同じ機序だ。フォロワーも「全然わからないマイルスを通学中にひたすら聞きながら自転車を漕いでいたところ、ある日突然”開眼”した」というようなツイートをしていた覚えがある。もちろんそうでない人もいるだろうけれど、わからないものをわかろうとする、という営みこそがどのジャンルにおいてもマニアの特徴なのかもしれない。 そうすると、ぼくが好きな「わかりあえない相手をわかろうとする」という営みの話は、「人マニア」と呼べるかもしれない。自分、人マニア好きです。人マニアやらせてください。

夏が好き

朝は寒く、昼は暑い日が続く。暑いよりも寒いほうが苦手なので、涼しくなるのはありがたいけど一抹以上の寂しさも覚える。 今年、周りの人達が「しんどい」「早く冬になって欲しい」と言いまくっているせいで、初めて「自分は夏が好きかもしれない」という自覚が芽生えた。そういえば、今までも暑い中で自分だけ動けていたり、逆に寒い日に自分だけ震えていたりした。単に相対的に暑さの方に強いというだけの話なのだが、夏が好き・冬が好きなんて大概それくらいふんわりした自認なんだと思っている。自分、夏好きです。夏やらせてください。

つくったもの

なし。

よかったもの

Himno a Cantabria 大学の先輩が貼っていた。スペイン、カンタブリア州の州歌らしい。歴史を感じるメロディと豊富な展開がカッコいい。

USHER - Confessions

★★☆☆☆ 来年のスーパーボウルでハーフタイムショーを担当するらしい。スムーズなR&Bで、あまり気分ではなかった。

ソヌジョンア - Studio X {1.Phase} - EP

★★★☆☆ 韓国のシンガーソングライター。聴きやすい歌メロとスマートな展開に、ちょうどよくゴツゴツした音の配置が馴染む。R&Bかと思いきやゴリゴリのリミックスやちょうどいいダブワイズが宇宙的な空気感を作り出す「OCTAVE」がカッコいい。そこから疾走ジャズの「nononono」へ行くのも今っぽい?

OZworld - SUN NO KUNI

★★☆☆☆ 新譜。RASENを聴いたときは「完全に羽化した、このフロウでアルバムを作ったらとんでもないことになるぞ」と思ったが、あんまり食らわなかった。螺旋のときはビートのシンプルさに加えて他との対比もあったのがよかったのかもしれない。「Gear 5」で「ゴムゴムの~」って言ってるの誰なんだ?