鬼の建築


雑記
内藤廣
今日は建築家・内藤廣の建築と展示を巡った。あまり観られる機会がない紀尾井清堂という建物と、その中でやっている内藤廣の手帳の展示を見て、渋谷でやっている内藤廣の展覧会へ。 紀尾井清堂は経済的な苦境や当時の心境、時代のトピックに対する反応などが赤裸々に綴られていて見ごたえがあった。一方、渋谷の方は主に自分が手掛けた・手掛けられなかった建築に対する思いが書かれており、同じ建築を扱いつつも全く異なる印象を受ける展示。展覧会では「静と動」だとされていたが、「静」側であるはずの手帳も結構激しかった。かなり動の人なのかもしれない。そうでないと建築家なんてやれないか。
文化の発信地
建築の展覧会なんて人来るんかね……と思っていたが、以外にも紀尾井清堂も渋谷ストリームホールもかなりの盛況。名古屋でアアルト展を見たときなんてほとんど人いなかったのに。やっぱ東京ってすげ~。 やっぱり人と金が飽和していないと文化に金は落ちてこないんすね~、と改めて思う。地方でインディペンデントな活動を行っているアーティストも、結局消費者は都市になるんだろうし。
つくったもの
えのきの梅肉和え、ニラ玉。レシピを見なくても作れる数少ない料理。
よかったもの
紀尾井清堂
建築を見ながら、内藤廣の大学卒業~現在に至るまでの手帳の一部コピーと本人による解説、仕上がった建物の図面などを見せてもらえる豪華な展示。しかも無料。 施主からのコストダウンの要望と戦ったり、無茶な工期に応えたり、職人の技に感動したり、建築家の「芸術」だけでない部分が面白かった。手帳に普通に「事務所 夏季賞与ナシ」とか書いてあるのが面白い。建築事務所は一般に給料が低くほぼ徒弟制度、と聞いたときは「絶対デカい金が動くのになんでそんなことになるんだ」と思っていたけど、今回の展示を見てちょっと納得したかも。なんか、常にギリギリなんですね。 時代のイベントとして9.11も取り上げられていたのだが、その直後にWTC崩壊の構造予想をメモした画が残っていたのには驚いた。プロだなあ。当たり前だけど。そういう「とにかくいつでも・なんでもメモして、ふとした拍子に降ってきたアイデアが建築に繋がる」という姿勢はイメージ通りながらかなりグッと来る。漏れも手帳持ち歩こうかな。
建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷
渋谷ストリームホールの展示。もともと内藤廣が手掛けた島根県芸術文化センターで行われた展示の内容を、渋谷で行うように調整したものらしい。内藤廣は渋谷再開発において重要な役割を担っているので(銀座線渋谷駅の設計など)、渋谷での展示もまた氏の仕事を見ながらのものになっている。 こちらはより広い空間が使えるぶん、模型や映像展示が充実していて楽しい。紀尾井が「設計するときに考えた足跡」だとすると、こちらは「設計したものについて今振り返る」という感じで、結構印象が違うのが面白い。